センターにお越しいただいた際には、普段地震に関して疑問に思っていることを人と防災未来センター 西館2階に設置してある質問箱にいただきましたら、後日ご回答をさせていただきます。
質問箱にいただいたご来館者からのご質問への回答の一部をご紹介いたします。
なぜじしんがおこるの?
越山健治(研究主幹)
地球はいくつかのプレートと呼ばれる堅い岩石の板に覆われています。これが地球の表面で、人が住んでいるところは地面だし、海の底にもなっています。このプレートは、地球の内部にある物質とともに、少しずつ移動しています(年に数センチ)。そしてこのプレートがぶつかる場所では、大きな圧力がかかり、そのうち急激に破壊活動を起こします。この時の地面の亀裂を断層と呼び、断層ができるときの揺れを地震といいます。またプレートとプレートの間では、「引き込み」「跳ね上がり」といった現象が、数百年間隔でおこり、これも度々大地震を起こす原因となります。つまり、地球全体の動きの中で、地面が割れたり、跳ね上がったりすることで、地震は起きるのです。
愛知県で東海地震がおきたら、阪神・淡路大震災より大きくなりますか
石川永子(研究員)
愛知県のとなりの静岡県を震源とする東海地震がおきると、静岡県の一部では震度7、愛知県など広い地域では震度6強か6弱のゆれがくるといわれています。また、愛知県の太平洋側など広い範囲で大きな津波がくると予想されています。
東海地震がおきると、阪神・淡路大震災で被害を受けた神戸のように、建物が倒れたりして多くの人が犠牲になる可能性があります。また、東海地震がおきると予測される地域は、歴史的に地震の多いところです。今まで、東海地震と同時に西側の三重県(東南海地震)や、四国(南海地震)でも地震がおきていることから、もしそうなれば、想像できないほど広い範囲で大きな被害になるでしょう。
「東海地震はいつ起こってもおかしくない」といわれています。そのために、みんなで力をあわせて、できることから対策をすすめていきましょう。
もし、また大きな地震が起きて全てが破壊してしまったら、次はどのような対策をしますか?
近藤伸也(主任研究員)
もし全てが破壊されてしまったら、あなたの命もあぶないし、そのあとの生活にも困りますね。だから今は全てが壊れないように家や学校などの建物や橋などに対策をしています。たとえば、新しく建物などをつくるときは、これまでの地震の揺れでも壊れにくくする決まりにしたがわなければなりません。
また、今ある建物や橋とかは地震で壊れやすいかどうかを調べる「耐震診断(たいしんしんだん)」を行います。それで壊れやすいとわかれば、カベや柱、基礎を強くして壊れにくくする「耐震補強(たいしんほきょう)」をするか、新しくつくりなおします。
このような対策を少しずつすすめることで、壊れる建物や橋などの数が減るようにがんばっています。
緊急地震速報の意義について教えてください。
宇田川真之(主任研究員)
まず、地震の被害を避けるためには、地震がおきても壊れないように、建物や家を丈夫にしたり、家具をしっかり固定したり、身の回りの環境を安全にすることが、大切です。でも、自分の家の外にいるときに、地震に襲われるかもしれません。また、高いビルの建設工事現場など、地震のとき危ない場所で、働く人もいます。こうした場所では、緊急地震速報は有効です。
あと、大きな地震の後、がけ崩れの現場や、壊れた建物の中などから、閉じ込められた人を、救助しようとする人達がいます。大きな地震の後は、余震がおこる危険性がとても高くなります。こうした現場は、大きな余震があると、とても危険な場所ですが、救助活動のためには、どうしても、そこで作業をすることになります。
こうしたところでも、緊急地震速報の効果が期待されます。
地震はいつの時代からあったのですか。
自然災害がなくなることはないのですか。
なぜ自然災害はおこるのですか。
照本清峰(主任研究員)
地球は、できてからも絶えず活動を続けています。その活動の中の1つの現象として地震は起こります。そのため、人類が生まれるずっと前より地震はありました。
地球は常に活動を続けていて、大きな地震が発生すること、火山が噴火すること、大雨が降ることなどの自然現象を人が止めることはできません。そのため、自然災害が完全になくなることはないでしょう。ただし、自然災害への対策をとっていれば、被害を完全になくすことはできなくても、被害を小さくすることはできます。
大きな地震が起こったり大雨が降ったりするだけでは自然災害はおきません。大きな地震があった場所や大雨が降った場所の周辺に人や建物等がないと災害はおきません。そして、人びとのとっている自然災害への対策を超えるちからで自然が襲ってきた場合、自然災害はおこります。
熊本でおきたことのある最大の地震の震度とMをおしえてください。
奥村与志弘(主任研究員)
筑紫地震
679年に、今の熊本県付近で大きな地震が発生したという記録が残されています(筑紫地震)。この時代は、中国や日本などが参戦した朝鮮半島での戦争(白村江の戦い(663年))が終わったばかりでした。日本はこの戦争で惨敗し、中国などの追撃に備えて、九州北部に大宰府(外交と防衛の地方拠点)が築かれ、その沿岸に防人(さきもり)を配備するなど、北九州地域が歴史の舞台で脚光を集めていた時代でした。
「日本書紀」によれば、この地震により幅6m長さ10kmの地割れが生じ、家屋が多く倒壊したとあります。マグニチュードは6.5〜7.5の範囲であると推定されています。当時の家屋の強度は分かりませんが、家屋が多く倒壊したということ、地震の規模が7付近であったことを考えると、最大震度は6以上だったと考えられます。
島原大変肥後迷惑
熊本県に大きな被害を出した災害として、「島原大変肥後迷惑」という災害にも触れておきたいと思います。この災害は、雲仙普賢岳の噴火とその後の眉山の崩壊によって発生した津波(1792年)により大きな被害を出しました。熊本県を含む周辺地域で被害は約1万5千人に達したといわれており、日本最大の火山災害です。
コメント
今住んでいる地域の「災害の歴史」を学ぶことは防災の中で最も大切なことです。災害は、90年程度の私たちの寿命を遥かに越えた時間スケールの中で繰り返し発生しています。地域の災害を理解するには、何百年、何千年という時間の中での災害を理解しようという姿勢が欠かせません。今回質問してくれたように、災害の歴史に関心を持つ姿勢をこれからも大切にしてくれれば嬉しく思います。
これからの日本で予想される最大の地震はどこでおこる可能性が高いですか。
奥村与志弘(主任研究員)
東海・東南海・南海地震
近畿、四国、東海地域の太平洋沿岸では、100から150年の周期で繰り返し大きな地震が発生しています。最近のものとしては、東南海地震が1944年に、南海地震が1946年に発生しています。これらの地震の発生はちょうど第二次世界大戦の終戦前後の混乱した時代でした。
次は、今世紀前半にも起きると考えられています。30年以内の発生確率は、南海地震で50%、東南海地震で60%、東海地震で87%となっています(2006年1月1日が基準)。これらの地震が同時に発生した場合の地震の規模はマグニチュード8.7となり、西日本地域を中心に大きな被害が予測されています。この地震は津波を伴うという特徴があり、死者数は最大2万7千人に拡大すると考えられています。熊本県にも震度5弱程度の揺れが予測されていますが、それ以上に西日本地域の社会活動の低下に伴う影響が大きいかもしれません。
首都直下地震
東南海・南海地震と同様に、首都直下でもマグニチュード8クラスの巨大地震が繰り返し発生しています。この地震は周期が200から300年となっています。最近の発生は、1923年の関東大震災となります。1918年に第一次世界大戦が終わり、5年が経過していました。
次回の発生は、前回の発生から90年程度しか経過していないことから、まだ先であると考えられますが、それまでに首都直下でマグニチュード7クラスの地震(阪神・淡路大震災クラス)が発生すると考えられています。首都直下ということで被害は大きくなり、死者数は最大1万1千人、経済被害は最大112兆円に達すると算定されています。