阪神・淡路大震災教訓集

「国連防災世界会議(兵庫会議)」にあわせてまとめた『阪神・淡路大震災教訓集』がJICA兵庫国際防災研修センターのご協力により、3カ国語に翻訳されました。

まえがき

阪神・淡路大震災の発生から10年を迎えようとしているこの時期に、災害の教訓をまとめ、それを世界と21世紀に発信することは、非常に意義深く重要なことです。なぜならこの都市震災は世界で初めて高齢化した近代都市を襲た未曾有の震災であったからです。その一方で、さらに大規模な災害が、今後とも世界で起こりうる可能性があります。また、近代に起こった災害で、これだけ詳細に震災の復旧・復興過程が検討され、それが種々な形で保存・活用できることも、これまでにない画期的なことです。

この教訓集は、これまでに集められた多くのデータや研究成果、さらに関係者の知見をベースにしながら、これまで防災対策の柱であった「公助」に加え、阪神・淡路大震災を契機にその重要性が再認識された「自助」、「共助」を切り口に、「いのち」を守り、「くらし」や「まち」を復興し、今後の災害に備えていくうえで、多くの人々にとって、また海外の方々にとっても重要となる教訓を抽出し、発生直後から長期の復興過程をも視野に入れながらまとめました。

一方、教訓あるいはそれに類するような伝承には限界があり、必ずしも普遍的なものではないということを知ることも重要です。ここで掲載した教訓が、今後も普遍的であり続けるのか、と問われると、必ずしもYesとは言えません。なぜなら、私たちの社会は、これまでも、そしてこれからも変わり続けるからです。また、私たちの価値観も時代によって変わっていくからです。一つの例を挙げてみましょう。これまでわが国で継続的に実施してきた防災対策により、2004年に発生した災害をみても、20年前の同規模の災害に対して、明らかに人的被害は減少しています。しかしながら、その経済的被害は比較にならないほど大きくなっています。