防災教育開発機構

普遍的な防災教育を探る (H21.3.7付け毎日新聞朝刊から)


神戸市中央区で報告会 県内外から100人


 全国に発信可能な防災教育をテーマに、消防、教育関係者らが討議した報告会
   =神戸市中央区のラッセホールで=
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 県教委や神戸市教委などが、新たな防災教育教材や教職員研修プログラムの開発に取り組む「防災教育開発機構」(事務局・人と防災未来センター)の報当会が6日、神戸市中央区で開かれた。愛知県や赤穂市など県内外の消防・教育担当者、NPO関係者ら約100人が参加。阪神大震災の教訓を踏まえ、全国の小中高校で活用できる普遍的な防災教育について議論した。【中尾卓英】
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 機構は昨春、最新の防災技術を学校・社会教育に普及する担い手づくりを目指し、文部科学省の助成を受けて設立。神戸市消防局や神戸学院大、県立舞子高校も参加し2年間、研究・開発に当たる。
 この日は、防災教育事例の分類と新たな教材づくり(神戸学院大)▽新たな防災教育研修プログラムの開発(県教委)▽神戸市内の小学校でのモデル的実践(神戸市消防局)−などをテーマに、実践報告した。
 「GIS(地理情報システム)を活用したハザードマップ作成授業」に取り組んだ舞子高環境防災科1年の中山一実さんと藤原麗生さんは「小学生とのまち歩きなどを通じてたくさんの住民と出会い、防災機能を持った公園、お年寄りの集住地域など多くの発見があった。ハザードマップをいかに多くの人に活用してもらうかが課題」と語った。
 一方、小中高校などに配る副教材「KOBE防災ハンドブック」(仮称)作りに取り組む神戸市教委の宮本晃郎・指導主事は「震災体験のない教員や子どもたちが増える中、心に響く授業、子どもたちの想像力を基本に、学校と地域が手を携え、未来につながる防災教育に挑戦したい」と力説した。
 最後に、舞子高環境防災科長の諏訪清二教諭が「震災を経験していない、堅苦しい、と敬遠されがちな防災教育の敷居を低くするためにも、環境や国際、人権などと防災をつなげる授業実践が大切。震災で学んだ『命・助け合い・思いやり』にこだわりながら、子どもたちの発見や気づきを大切にする防災教育の語り手、伝え手、担い手を育成したい」と総括した。

* 毎日新聞社の許可を得て掲載しています。