国際防災・人道支援フォーラム2007

国際防災・人道支援フォーラム2007

~ 防災教育の取り組み ~

神戸東部新都心を中心に立地する防災関係機関らで構成される国際防災・人道支援協議会及び兵庫県が主催する当フォーラムは、これまでのテーマである「阪神・淡路大震災の教訓の語り継ぎ」の流れを受け、今回は「防災教育」をテーマに実施され、協議会構成員をはじめ、防災、教育の関係者などを約80名が参加しました。

基調講演では、危機管理対策アドバイザーの国崎信江氏が、家庭や主婦の視点から家族という大切な命を守る「防災教育」の手法について講義を行いました。その中で同氏は、自身の防災教育のプログラムである「たまごの殻でガラス飛散体験」などを紹介し、「子供たちの興味を引き出し、体験・経験をすることでいざという時に行動がとれるようにすること。一過性の学習や形式的な訓練ではなく、自分で判断し、守り生き抜く力を養うことが必要。」と訴えました。

引き続き行われたパネルディスカッションでは、京都大学防災研究所助教授の矢守克也氏が、「地域をつなぐ防災教育」、「世代をつなぐ防災教育」など、防災教育の7つの視点を紹介するとともに、パネリストにそれぞれの防災教育のキーワードを問いかけました。これを受け、国内のみならず、スリランカ等海外でも防災教育の活動を行う立命館大学の中野元太氏は、「生徒たちが主体的に実感できる、一目でわかる防災教育をめざすべき。」と提言しました。一方、神戸大学大学院に留学するインドネシア人のヨン アルサル氏及びムルヨノ氏が、小学生向けの防災教育用絵本を翻訳し、祖国の子供たちに伝えようと取り組む事例を紹介した他、ムルヨノ氏は「楽しみながら防災を学べたら一番」と、アルサル氏は「防災教育を通じて防災に強いまちづくりが必要だが、ほとんどの途上国は知識や財源が乏しいのが現状。そのために優先順位を立て、学校内外を問わず子供たちへの教育に重点をおくべき」と訴えました。

同協議会では、「震災から12年が経ち、この神戸の地でも震災を経験していない人が増えてくるなど、次第に風化が始まっている。災害多発時代と言われるこの時代にこそ、風化を防ぎ、今後の防災教育のあり方について議論を深め、次世代に伝えていく必要がある。このフォーラムを通じて、その重要性を訴えていきたい」としています。

会場風景
講演の様子
パネルディスカッションの様子
開催日時

平成19(2007)年1月22日(月)

場所

JICA兵庫国際センター

主催

国際防災・人道支援協議会(事務局:人と防災未来センター)・兵庫県

報告書