震災を語る 第37回
第37回 震災と私 -1995年から28年間を振り返って-
(当時、高等学校理科教員)
K.T氏(男性/66歳/人と防災未来センター・語り部)
あの震災は私にとって何だったのだろうか?
28年という歳月を経て、初めて震災が与えた
試練とその後の人生への影響を振り返る
私の体験
「地震だ!」と気がついた時、どう動いたのだろうか?
いえ、何もできません。ただ横に寝ていた妻と手を握り締めるだけの数分間でした・・・
今までの安全で快適な生活に、異変が生じた瞬間でした。
「私の語り(1)」被災体験の教訓
- 地震直後の揺れの特徴と壁面の破壊音
- 自宅周辺の木造家屋の1階部分の座屈
- 消火活動のためのバケツリレー
- 避難に役立った服装・習慣・避難経路の確保
一体私は、何を教えてきたのだろうか?
理科の授業はできても、地震の恐ろしさや人の命の尊さは伝えていませんでした。
これまでの授業で大切にしてきたもの以外に、さらにたくさん必要な事を教えてくれました。
「私の語り(2)」地学教師の思い
- 地震3日目の出勤時の様子
- 生徒の安否確認を通した各避難所の実感
- 3名の女子生徒の死を追悼
- 理科の授業方針を見直す契機
卒業後20年ぶりに大学の門を叩き、当時の恩師にお願いしました。
「先生、私にできることはなんでしょう?」
「人に役立つ研究をさせて下さい。人の命を守る研究です!」
快く受け入れて頂いた上に、懇節・丁寧な御指導を感謝します。
「私の語り(3)」防災研究の開始
- 大学の恩師へ地域に役立つ研究志願
- テーマ「避難所としての学校の被害検証」
- 校舎の損傷を地震による地盤変状と関連付けて解析
- 自然科学の研究を社会貢献につなぐ重要性を主張
高校生の力は凄いと実感しました。
お年寄りから子供まで、幅広い年齢層に対応出来、行動力もある。彼らはきっと、来 たる災害時に、大きな力を発揮してくれると信じています。
幼少期に被災体験を持つ生徒は、年々減っていきます。それでも教え伝えていくこと が大切です。
「私の語り(4)」震災の風化防止
- 2005年:「高校生が体験した震災作文集」→被災体験の記録
- 2006年:オリジナル震災劇「すずらんの花」→児童館の子供たちへ震災の伝承
- 2010年:人と防災未来センターの「語り部」→来館者へ向けた神戸発信の防災教育
(2023.7.1 修正)